新しいものづくりを可能にするデジタルファブリケーションとは?
デジタルファブリケーションとは、3Dプリンター等の工作機械を用いて、単一スペックに対して従来よりも非常に低い初期コストで立体デザインや製品が製作できるシステムです。 このデジタルファブリケーションはものづくりのありかたを根本的に変えるといわれているのですが、果たしてどういうことなのでしょうか?
ひとつめに、製造ビジネスに対する新規参入のバリアが非常に低くなるということです。いままで製造業に進出するには工作機械や生産ラインの大規模な設備投資が必要でした。また製造を外注するにしても、単一のスペックに対しそれなりの製造数量が要求され、大規模な物流網や多数の既存顧客を持っていないと採算性は厳しく、よって個人がビジネスを始めるには、資金調達の面でハードルが高かったのです。デジタルファブリケーションでは、真鍮やアルミ製のいわゆる鋳型を製造しなくても良いので、少量から製造、販売を始めることができます。
ふたつめは、商品企画プロセスについてです。以前はプロトタイプを作るにも長い時間とコストがかかっていました。商品企画に携わる多くの人たちが、プロジェクト初期の段階から実際に商品の模型や実物を見ながら議論ができることで、品質の向上及び開発効率の大きな向上を見込むことができます。
最後に多品種少量生産の加速です。消費者の生活や嗜好の多様化に製造側が対応できるようになったことから、各カテゴリーに今まで以上に多くのプレーヤーが出現することになり、既にに発生している実態店舗からECサイトへの消費者の移動にも拍車をかけることとなりそうです。多品種を扱いきれなくなった実態店舗の魅力はますます低下してゆくことでしょう。
以上のようにデジタルファブリケーションは製造者と消費者双方にとって新たな豊かさを生み出す可能性がある一方で、現在起こっている流通の在り方の変化を加速させる効果もありそうです。